EGOIST
エルドレッドは部下たちに視線だけを向けた。
彼らの言うことが分からなくもない。
ダンテはアルマではない。
おそらく、彼らからすればエレンと付き合いのある少し腕の立つ一般人程度にしか見えていないのだろう。
そして、フィランダーとの繋がりがあったということが、彼らを不安にするのは無理からぬことと言えた。

「実力のほどは私も知らん」

エルドレッドがさらりと言った言葉に、3人の部下はギョッとする。

エルドレッドがダンテと知り合ったのは7年前であるが、実際に彼と仕事をこなすのは初めてなのだ。
それは、ダンテがあくまでエレンの知人であって自分達と同じフェアファクスに仕える立場にはなく、エレンが必要以上にエルドレッドたちと関わらせなかったことにある。
また、ダンテ自身も必要以上に接点を持とうとしなかったというのもある。

だが、とエルドレッドは続ける。

「エレンが全幅の信頼を置く男だ。実力はどうであれ、裏切りはなかろう」

そう、エレンは祖父であるヒューの部下にあたるエルドレッド達よりもダンテのほうを信頼している。
そして、ダンテはその信頼だけは絶対に裏切らない。
ならば、裏切りを疑うことは全くの無意味だ。

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