EGOIST
「あぁ、エレン。彼らに何か言っておくことはあるかい?」

彼らとはもう会えないかもしれないからね、とフィランダーは笑った。
それをエレンは一瞥し、それから5人へと視線を向ける。
エレンは「そうですね………」と目を伏せ少し考え、口を開いた。

「エルドレッドさん、あなたとあなたの部下の手を煩わせるようなことになり、申し訳ありません」

エレンが頭を下げた。

「いや、君の護衛を任されておきながらそれを果たせなかったこちらにも責任はある。気にしなくていい」

エルドレッドの言葉に、エレンは薄く笑い、それから視線をダンテへと投げた。

「やはり来てしまったんですね」
「ちょいとばかし見てられなかったんでね」

ダンテが肩を竦めた。

「小言は後で聞くんで、とりあえず仕事内容、頼みますわ。とりあえずここまで来たはいいものの、どうするべきか悩んでですよ」

ダンテがいつもの軽い調子で言う。
こいつは何を言っているのだと複数の視線が向けられる。

「祖父は何も言いませんでしたか?」
「言ってたかもしれねぇけど、覚えてない。それに、俺の雇い主はじーさんじゃなくお前なんでね。俺、一度に複数の仕事は受けられねぇの」

ダンテの言葉に、エレンは数度瞬きをした。

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