EGOIST
大きなゲートがその大口を開けた。
すると、そこから大小さまざまな影が入ってくる。
獣のように四足歩行するモノ、人のように二足歩行するモノ。
姿かたちに統一感はない。
ただ、どれもこれも異常である、ということだけは共通していた。

「うへ、予想はしちゃいたがこりゃ骨が折れそうだ」

ダンテが苦い顔をした。

「逃げるかね?」

エルドレッドがダンテの横に並び、尋ねた。

「逃げたいのは山々ですがね。でも正式に依頼されちゃ逃げるわけにもいかないでしょ。それに、その選択は正しくない」

そう、ダンテは前を見据えたまま、革製の黒いグローブを嵌めながら言った。

その時、3人の肩がわずかに揺れたことをダンテは見逃さなかった。

(ありゃぁ、エレンに何か言われたかね)

それが僅かでも隙になるならこちらに勝機はある。
とはいえ、あの3人の身体能力は未知数だ。
油断をすればただでは済まない。

と、ダンテははて、と思う。
今しがた出てきた獣達が飛び掛かってこない。

記憶の中のあれは、部屋に入ってくるなり問答無用で飛び掛かってきた。
そもそも、ここへ来るまでもおかしかったのだ。
たとえドアが閉められていたとしても、動く物の気配を感じれば飛び出してきてもおかしくなかったはずなのに、飛び出さないどころか、気配すらほとんど感じられなかった。
考えられるとしたら―――。

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