EGOIST
「悪いな、こうでもしないと俺には分が悪すぎる」

そうつぶやき、取り押さえようと近づいた時だった。
下から凶悪な拳がダンテの顎に向かってくる。

「?!」

それを咄嗟に避けるも、よけきれなかったのか頬にチリっと痛みが走る。
かと思えば回し蹴りを足にくらって体勢を崩す。
咄嗟に受け身を取って転がるようにして2人と距離を開けた。

2人がふらりと立ち上がる。

「おいおいマジかよ」

どうなっているのかとダンテは引きつった笑みを浮かべた。

そうして再び2人がダンテに対し攻撃を繰り出し、ダンテはそれを避ける。

あれは単なるフリで、実は彼ら防いでいたのかと思っていたがそうではない。
現に、攻撃を繰り出す彼らの目はダンテを正確にはとらえておらず、攻撃も微妙にずれている。
だが、彼らがダンテの位置を何らかの方法でとらえている。
そうでなければダンテはかわすことに徹してなどいない。

「おいおいどうなってんだよ本当に」

ダンテのそんな言葉にすら2人は無反応。
無視しているともとれるが、様子からして完全に聞こえていない。

< 170 / 230 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop