EGOIST
嫌でたまらない家に帰るなりメイド達にもみくちゃにされて如何にも高そうなスーツを着せられた。
いつもは適当に結んでいる襟足の長い金髪も、綺麗に整えられた。

そうして身なりを整えたところで父親であるブレンダン・バスカヴィルがやってきた。
ダンテの姿を眺めた後、「行くぞ」とだけ告げた。

そうして黒塗りの車に乗り込み会場へ向かう。
会場に入り、ブレンダンが顔見知りの客達と話している後ろに控え立ち、時折話しかけられればあたりさわりのない返答をする。
早く終わらないだろうかなどという考えは愛想笑いの裏に綺麗に隠した。

そうして何人目かの話しかけてきた客が、ヒュー・フェアファクスだった。

なんてことはない。
彼もまた大手会社の社長である。
この手のパーティーに彼がいることは別段おかしいことではない。
このような形で顔を合わせたのも今回が初めてではない。

が、今回は少し違った。
その後ろにエレンがいたのだ。
そして、エレンの横には見知らぬ青年が1人。

どうにかこうにか声を上げずに済んでいるが、愛想笑いは引きつっているかもしれない。

エレンと、一瞬目が合った。
エレンは軽く会釈をするのみで、表情は変わらない。

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