EGOIST
「お疲れ様です」
「おう」

そう簡単な挨拶を合わし、リビングへと向かおうとするエレンを背後から抱きしめる。

最近はもっぱらこれが習慣になっている。
最初こそなれないスキンシップにエレンは耳を赤くしていたものだが、もうすっかり慣れたようで、ダンテが満足するまでされるがままである。
慣れてくれたことを喜ぶべきなのか、うぶな反応がもう見られないことを悲しむべきなのか、ダンテとしては複雑なところである。

時間にして数十秒。
ダンテがエレンを放し、2人で並んでリビングへと向かう。

部屋にはすでにイアンもいる。

「お疲れさん」
「アンタもな」

そんな、短い挨拶を交わす。

「そういやお前ら大丈夫なのか。もうすぐ試験だろ」
「そうそれ。仕事だからやるけどさ。警察ももうちょい考えてくれないかね」

イアンが盛大に溜息をついた。

「俺らの人生がかかってるようなもんなのにさ。点数とれなかったら訴えてやる」
「阿保か」

本気なのか冗談なのか分からないイアンの言葉に、ダンテは呆れる。

「イアンの言う事には一理ありますが、本当に落ちてしまった場合、それはこの程度でどうにかなる程度しか用意していなかった自分のせいでもあるでしょう」
「エレンが冷たい!」

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