EGOIST
ダンテは長い廊下を走る。
この研究所の見取り図は頭の中に叩き込んでいるので大体何がどこにあるのか分かっている。

「おい、イアン。まだそのガキは実験室か?」
『ちょい待ち。えー………あぁ、まだいるな。薬を打った後の経過観察をしてるってところかね』

監視カメラからの情報を確認したイアンからの答えが返ってきた。

『下の階にゃ強面のあんちゃんはいないな。後はいかにもインドア派な奴らが数人ウロチョロしてるくらい』
「戦闘員がいないのは助かるが、騒がれるのは面倒だな」

言いながらダンテはエレベータホールにある非常階段に重い扉を開けた。
階段を駆け下りる。
そして1つ下の階に出る扉を少し開け、外を確認する。
すぐ近くに人の姿はないが、イアンの言葉通り、誰かがいる気配はある。

ダンテはレッグポーチから1つ円柱状の何かを取り出した。
そして、その円柱状の物についている栓を抜き、わずかに開けた扉から廊下に向かってそれを放り投げた。
間もなくして白い煙が吐き出しながら床に落ちた。
数秒で煙はあたりに充満し、ドサ、ドサ、と倒れるような音が聞こえる。

ダンテは煙を吸い込まないよう口元を押さえ、廊下に出る。
廊下には数名の白衣を着た研究員が倒れている。

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