EGOIST
「さ、帰りますよ陛下。まだ執務は終わっていないのですから」
「いや、僕には彼女たちとお茶をする予定が」
「そんな予定はありません」

そうして引きずられるように連れ去られるさまはまるで捕まった宇宙人のようである。
捕まったのは宇宙人ではなく一国の主であるが。
そうして男2人によってアーサーは車に押し込められ、車は走り去った。

「す、凄い人たちへ」
「まぁ、色んな意味で。あの王サマ、たまーにお忍びで顔出すから、ここで働くなら早く慣れた方がいいと思うぜ」
「そ、それは無理かも………」

アンジェリカが額を押さえる。
イアンはそれを見てカラカラと笑った。

と、アンジェリカは何かを思い出したかのように顔を上げた。

「ねぇ、イアン。フェアファクスが王家と深いかかわりがあるってどういうことなの?」
「あー………」

アンジェリカの問いに、イアンはすぐには答えない。
イアンにしては珍しい反応だ。

「んー、まぁ、大昔から王様に仕えてた家なのさ。つっても表舞台に立つ騎士様みたいな華やかなもんじゃないんだがね」

こればっかりは俺には詳しくは言えないと、イアンは肩を竦めた。

< 51 / 230 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop