EGOIST
男達は狂ったように悲鳴を上げた。
体勢を立て直そうと足掻くが、引っ張られて上手くいかない。
そしてついに3人は汚水の中に引き込まれた。
汚水は腰のあたりまでしかないはずなのに、なぜかすぐそこにあるはずの底がなかった。
そしてそのまま底の見えぬ奈落に引きずり込まれていく。

3人は力を振り絞って上へ上へと上がろうとする。
そうしてどうにか引きずり込もうとする手から逃れ、浮き上がった。
思わず足元を確認する。
脚はしっかり底についている。

夢だったのか。
しかし、全身汚水や汗でぐっしょり濡れていて、腕や足を掴んでいた手の感触がやけにリアルに残っている。

「どうしました。顔面蒼白ですよ?」

そんな男達に向かって、少女が声をかけた。

「い、今!死体が!!」
「死体?そんなもの見えませんでしたが」

何を言っているのかと、少女は首を傾げた。
あんなにはっきりと自分達の目に映った悍ましいあれが、少女には見えていないというのか。

「私はそろそろ警察が到着しそうだということを言いたかっただけなんですが」

おかしなこと言いますね、と少女は言った。

であればあのやけにリアルだったあれは夢や幻の類だったということなのだろうか。
男達がそう思いかけた時だった。

「あぁ、でも」

少女の声に、男達はびくり、と肩をはねさせた。

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