EGOIST
エレンとイアンは2人で1セットとして周りが認識するほどよく一緒に行動し、スキンシップも多い。
故に、よく勘違いされるのだが、決して恋人ではない。
エレンはイアンをどちらかと言えば弟のように思っているし、イアンもまた然りである。
そんな説明をいったいこれまで何度してきたか分からない。

「彼にも予定があるんでしょう。しかし、パンケーキは気になったようで、テイクアウトを頼まれました」

そう言い、先ほど届いたSNSのメッセージを見せる。
それに友人は「あいつらしいわ」と笑った。

と、エレンが肩越しに後ろを見た。
それに遅れて友人も後ろを見る。
流れていく人の間、何かが慌てて隠れるような動作をしたのが見えた。

「またいる。あれで気づかれてないつもりなのかしら」
「さぁ」

友人が渋い顔をするのに対し、エレンは肩を竦めただけだった。

気が付けば誰かが後をつけられている、ということが彼是1ヶ月続いている。
ストーカーのような悪質なものではなく、どこかの出版社の記者らしい、とは少し前に隠れてその姿を視認したイアン談である。

「ねぇ、本当にいいの?放っておいて」
「別に構いません。今のところ実害はありませんし」

そう何でもないように答えるエレンに、友人は心配そうな視線を向けた。

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