EGOIST
もちろん、彼女はエレンが負っている役目のことは知らない。
だが、理由は分からずとも友人が後をつけられるのは気分のいいものではないのだろう。
そうやって心配してくれるのがエレンは素直に嬉しかった。

「それに、何があっても貴女は私の友人でいてくれるのでしょう？なら、何の問題もありません」

そう、素直に伝えれば、友人に再び抱き着かれた。

「もう、アンタはどうしてこう可愛くてかっこいいの？！」

なんて叫ぶように言う友人に、エレンは苦笑した。

「さ、早くいきましょう。パンケーキは逃げはしませんが、店は閉まってしまいますよ」

そう促し、エレンは友人とともに歩き出した。

そんな2人の様子を陰から見ている人物が2人。
何事もなく歩き出した2人に、ふと安堵の息をついた。

「行ったわね」
「先輩、そろそろやめましょうって。そろそろやばいっすよ」

物陰から出ようとする女に、男が情けない声を上げた。

「何言ってるの。せっかく掴んだネタなのよ。これを逃してたまるものですか！」

そう意気込んで、女は2人を追いかけ始めた。
そんな女に、男は溜息をついて続く。




< 75 / 230 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop