EGOIST
子供は数名の警察官に引っ張られていく男達を眺めていた。

「世話かけたな」

そう声をかけてきたのは50歳前後の男。

「いえ、これも仕事ですから。しかし、このくらいの小悪党、自分達でどうにかしていただきたいものですが」
「耳の痛いことで」

子供の静かだが容赦のない言葉に、男は肩をすくめた。

「それでは、私達はこれで。報酬のほうは、いつも通りお願いします」

そう言って子供は男から離れていった。
男はその後姿を見る。

「あの子ですか、先輩が言ってた協力者って」

男の横に、若い男が並んだ。

「ん、あぁ。そういやお前は初めてか」

一度若い男のほうに視線を向けた男だったが、すぐに視線を子供のほうに向ける。
子供は少し離れた位置で壁にもたれかかっている男と一緒にいた。
男の足元には犬が2匹おり、子供はその頭を撫でていた。

「あんな子供がこんなことしてるなんて………
平気そうにしてますけど、きっと怖いですよね。早くあんな子がこんなことしなくて済むようにしないと」

などと若い男は気合を入れる。
そんな後輩に、男は複雑な表情を浮かべた。

「どうしました、先輩」
「いや、なんでもない。さっさと行くぞ」

そうして2人はその場を去った。

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