EGOIST
そんな2人の様子を、子供の近くに立っていた男は眺めていた。

「あの新人、お前にこんな事させられないから仕事頑張るってさ」
「盗み聞きですか?」

男の声に、それまで犬を撫でまわしていた子供が顔を上げた。

「人聞きの悪い。声は聞こえちゃいない。俺は前を見てただけ。口元隠さずに会話してるあっちが悪い」

言いながら男は肩をすくめた。

「是非頑張っていただきたいものですね。まずはギデオン刑事のいびりに耐えるところからでしょうが」

そういい、子供は立ち上がった。

「あぁ、けれど」

子供の灰色の目が、銀色の光を帯びた。

「平和になってしまったら、それはそれで少し物足りないのかもしれません」

そう静かに言った。

「言えてる」

そう、男はくつりと笑った。




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