EGOIST
そうして彼女の身辺調査を始めて1ヶ月が経過しようとしている。

彼女は現在15歳。
今は祖父のもとから離れて旧市街のアパートで1人暮らし。
友人は同じ学校に通いイアン・アルフォードをはじめ、数人。
この数人の中に病院の院長の息子で何かと噂の絶えないダンテ・バスカヴィルがいることには驚いたが。

ここ1ヶ月の行動はと言えば、平日は学校へ行き、時々その帰りに友人と寄り道。
休日は部屋で過ごすか友人と買い物に出かけたりお茶をしたりと、今時の若者らしい生活を送っており、とてもではないが両親殺害を企てるような人間には見えない。
だが「そんなことをする人だとは思わなかった」と言われる人物でも殺人を起こすような昨今である。
何かあるかもしれないと、彼女は後輩のメイナードを巻き込み、この1か月間彼女を調べ続けている。

そうして今日も今日とてエレンを追いかけてみたのだが、特に変わったところはない。

アデラは腕時計で時間を確認。
そろそろ今日は切り上げなければなるまい。
今日は週1の情報を引き渡す日である。

「今日も収穫なし、か」
「先輩、いい加減あきらめましょうよ」

メイナードが呆れたようにアデラに言った。

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