EGOIST
個室から出たバーテンダーは、空になった瓶を持って店の裏に出た。
「案外気づかれない物ですね」
そうつぶやいたのはバーテンダーの格好をしたエレンだった。
そう言いつつも、気づかれないと分かっていたからあの2人に接触したのだ。
髪型をウィッグで変え、眼鏡をかけて変装しているし、雰囲気を出すために室内は薄暗く、相手の顔が見えにくい。
そうなってしまえばたとえ見たことのある顔でも判別は難しい。
さらに、「こんなところにいるわけがない」という考えがあればなおさらだろう。
エレンは手に持っていた瓶をごみ箱に放り込み、ズボンのポケットに入れていたスマートフォンを取り出した。
そして、メモリ内に厳重にパスをかけて保存しているファイルの中から1つを開く。
そこにはずらりと並んだ人物の顔写真。
それをスクロールしながら流し見ていく。
と、その指が止まる。
そこに表示されていたのは先ほど若い男と喋っていたスーツの男。
エレンはらしくなく舌打ちをした。
「もしかしてと思っていましたが、面倒なことになっているようですね」
エレンは一気にファイルの一番上までスクロールさせる。
そこには1人の男の画像。
40代ほどの、白髪交じりの頭のその男を、エレンは睨みつけた。
「案外気づかれない物ですね」
そうつぶやいたのはバーテンダーの格好をしたエレンだった。
そう言いつつも、気づかれないと分かっていたからあの2人に接触したのだ。
髪型をウィッグで変え、眼鏡をかけて変装しているし、雰囲気を出すために室内は薄暗く、相手の顔が見えにくい。
そうなってしまえばたとえ見たことのある顔でも判別は難しい。
さらに、「こんなところにいるわけがない」という考えがあればなおさらだろう。
エレンは手に持っていた瓶をごみ箱に放り込み、ズボンのポケットに入れていたスマートフォンを取り出した。
そして、メモリ内に厳重にパスをかけて保存しているファイルの中から1つを開く。
そこにはずらりと並んだ人物の顔写真。
それをスクロールしながら流し見ていく。
と、その指が止まる。
そこに表示されていたのは先ほど若い男と喋っていたスーツの男。
エレンはらしくなく舌打ちをした。
「もしかしてと思っていましたが、面倒なことになっているようですね」
エレンは一気にファイルの一番上までスクロールさせる。
そこには1人の男の画像。
40代ほどの、白髪交じりの頭のその男を、エレンは睨みつけた。