EGOIST
4 shots
「反政府組織の調査のサポート、ですか」

輝くシャンデリア。
奏でられるクラシック。
着飾った招待客。
止むことのない話声。

そんなパーティー会場の端に、エレンは男と並んで立っていた。
黒のシンプルなノースリーブのパーティードレスを着て、長い髪はサイドにざっくりとだんご状にまとめている。

その横には2人の男が立っている。
紺の上下とグレイのベストのスリーピーススーツに身を包んだ、栗色の髪の男。
長身で、筋肉質とまではいかないものの、一般人と比べるとずいぶんとしっかりした体つきをしていることが、スーツの上からでもうかがえる。

その横に立つのは栗色の髪の男より幾分か若い、黒のスリーピーススーツに襟足の長い明るめの茶色の髪の男。
こちらは栗色の男に比べるとやや身長が低く細身。
少しばかり長い前髪のしたに見え隠れする琥珀色と灰色のオッドアイが印象的だ。

「本来ならこちらですべて片付けるべき物なんだがな。少々てこずっているうえに時間がない」
「いつもの無理注文ですか」
「そういうことだ」

栗色の髪の男が肩を竦めた。
両者の声は互いに聞こえる程度の大きさで、周りの客には聞こえていない。
誰も、この華やかな会場で彼らが物騒な話をしているとは思おうまい。

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