EGOIST
「構いませんよ。後で詳細を送っておいてください」
「恩に着る。諜報はうちの専売特許だが、あちら側は門外漢だ」
「仕方ありませんよ。一方でこちらは政界への影響力は低い。何事も持ちつ持たれつ、バランスが第一ですよ、ハーヴェイ中尉」
「そうだな、エレン嬢」

ハーヴェイはこの国では有名な家だ。
古くから優秀な軍人を輩出し、多くの功績を上げてきた。
そして、そんな煌びやかな経歴とは裏腹に、諜報などを目的とした特殊部隊の運営を行う家でもある。
裏が表を侵食することを防いできたフェアファクスの傍らで、彼らは表が裏へと偏らぬよう、「膿」の排除を行ってきた。
そんな彼らは昔から頻繁に情報交換や互いのサポートを行ってきており、それは現在も変わらない。
そして、それを抜きにしてもハーヴェイとフェアファクスの両家は仲がいい。
エレンと、目の前にいる現ハーヴェイ家当主アーロン・ハーヴェイも昔からの付き合いで、歳こそ10も離れているが、良き友人である。

「しかし驚いた。まさかこんな場所で会うことになろうとは」
「その言葉、そっくりそのままお返しします」

話がひと段落し、2人は別の話を始めた。

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