「 好 き だ よ 」
《───青ブロック、黄ブロック、ほぼ同時にバトンがアンカーへと繋がれました!》
終盤を合図するアナウンス。
周囲の盛り上がりが更にヒートアップしていく。
選手たちは風に揺れる赤いタスキを肩に掛けながら、自分より前の選手を追いかけるように前へ前へと走っていく。
そこで、唐突に。
アナウンスの一言が放たれた。
《白ブロック、先頭と半周遅れでようやくアンカーへとバトンが繋がれました!
白ブロック、最後まで頑張ってください!》
アナウンスの、同情じみた声援。
白ブロックの優勝はもう無いと、そう言っているようなものだった。
だけど、誰もがきっとそう思っていた。
思っていたはずだった。
───けれど。
「………嘘」
綺麗なフォームで、風に溶け込むように地面を駆け出していく彼。
普段の草食な彼とは打って変わって、
内に秘められた別の"素"を醸し出している。
《な、なんと白ブロック、物凄いスピードで先頭との距離を縮めています…!
一人、二人、三人……四人!
遅れをとっていた白ブロック、あっという間に四人抜かすことに成功しましたああ!!》