「 好 き だ よ 」


「あっ。選手入場してきたよ!」

「キャー!進藤くーん!」



相も変わらず注目されてる進藤先輩は、どうやらトップバッターを任されてるらしい。


既に双眼鏡のスタンバイを終わらせていたあっこは、気づいたら片手にスマホを握らせていて。写真にも収めるつもりなのかと凄まじい熱狂ぶりにむしろ関心してしまう。



────パンッ


ピストルの合図と共に、トップランナーが前へ前へと駆け出していく。


いよいよ始まったブロック対抗リレー。


一瞬にして空間が騒がしくなり盛大な歓声に押し潰されそうになるけれど、一生懸命走る選手たちを見ていると、応援せざるを得ない衝動に駆られる。



「あっ、つぎ田端だよ!田端ファイトー!」



ぶっちぎり1位で次の選手にバトンを繋いだ進藤先輩を誰よりも熱く応援していたあっこは、今度は田端にめいいっぱいの声援を送る。


田端が前の走者から黄色のバトンを受け取り、つぎに控えた走者へとバトンを繋いでいく。



「あっー、抜かした、田端一人抜かしたよ!」

「凄い凄い! 田端いっけーー!」


田端はそこそこ運動神経がいいので、(残念ながらアンカーでもトップバッターでもないけれど)

体育行事のときだけ異様に目立つ。
酷なことに、それ以外は平々凡々以下の目立たないクラスメイト扱いだけどね。



田端の活躍により、黄ブロックは現時点で6ブロック中2位。


だけどどのブロックも距離に差のない接戦で、リレー競技も中盤に差し掛かってきたのだけれど、完全な勝敗は未だわからないままだ。


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