隣人が世話焼きな件について


ものの5分で七五三の着物を着た女の子が薄いピンクのフリフリのレースがたくさんついたドレスに着替え、髪の毛もふわふわのお団子からドレスに似合うダウンスタイルへと変身して出てきた


「…かわいい」


思わず口に出していた言葉にお姫様に変身した女の子は嬉しそうに笑い、私に手を振りながらキレイな女性と再びスタジオに入っていった




キレイな女性はスタジオに入ると先程までの丁寧な仕草ではなく、楽しそうに子どもと遊びながらカメラマンの人の指示通りに素早くセットを変えていく


その動きに見入っていると、スタジオがひとつ空き他のスタッフと代わったその女性がレフ板を動かし囲いを作り、真ん中にひとつ背もたれのない丸い椅子を置きこちらへやって来た


「田辺様、大変お待たせ致しました。」


また丁寧な仕草でお辞儀をし、「どうぞこちらへ」と先程セットした椅子に案内される



ずっと隣にいてくれたこうちゃんはさっきまで座っていたスタジオの外の椅子に座ったまま微笑みながら私を見ている



「襟元やヘアスタイルの確認をお願い致します」


女性がB4サイズくらいの鏡を持って私の前に立った


見せられた鏡を見て、襟元を正し髪の毛は後ろでひとつに束ねているので前髪だけ手櫛で整える


「ありがとうございます」


お礼を言うと女性は鏡を片付けカメラを左肩から襷がけにし、私の横に並び顔の横で私が向いている方にレンズを向けて1度シャッターを押しカメラの操作をしている



「はい、ではお撮りしますね」



私の正面に移動し、かけられた声に背筋を伸ばす


「顎を少し引いて、左肩を少し下げましょうか」

カメラを覗きながらされた指示通りに顎を引いて左肩を下げる


「そうです。ではお撮りしますね」



「はい」という合図と共にシャッターが押され、設置されているフラッシュが光る


「では次は少し口角を上げてお撮りします」



言われた通りに口角を上げると再び「はい」という合図でシャッターが押された



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