好きですか? いいえ・・・。
私はどういうわけか川上くんと目が合う。私がずっと見ているわけじゃない。私が気になって川上くんの方をチラッと見てみると、川上くんも私の方を見ている。慌てて目を逸らし、黒板に視線を向ける。それからまたちょっと経って川上くんに視線を送ると、また私の方を見ている。それから慌てて目を逸らし……。この繰り返しだった。
日本史の授業が終わって、お昼休みに入ると、仲の良かった女子たちが私の席の周りに集まってきた。事故当初は保健室にも顔を出してくれなかったくせに今更……。とか内心、ちょっと思ったけど、それでも昔と変わらずに接してくれることが嬉しかった。
「十志子、私、学食行くけど、何かいるものある?」
「うーん……カツカレー希望!」
「カツカレー!? 無理無理。大人気なんだからすぐに売り切れちゃうよ。」
「大丈夫だって! 私と行けば絶対買えるから!」
私はみんなに例の落合くんとやった作戦内容を話した。
「なるほど……ちょっとズルい気もするけど、ナイスアイデアかも!」
「ズルくなんかないよ。私は『譲ってください。』なんて言ってないし、向こうが勝手に譲ってくるだけだもん。まあ、ドーンッと私に任せなさい!」
「おおー! 十志子様、頼もしいー!」
私は胸を叩いた。その時、教室に落合くんが入ってきた。