心で叫ぶ、君のこと
窓から見える空が、オレンジっぽくなってきて、部屋の中も少しだけオレンジ色に染まる。
あたしと昴は、しばらくお互い何も言わずに座ってた。
何も言わずに。
…泣いていた。
今までのことを考えてたら、涙が止まらなくなった。
昴だって同じだと思う。
「…昴…。本当に、ほんとに、ありがとう。……」
抑えきれなくなって、そう言った。
全てに、ありがとうしかなかった。
「……俺こそ…。ありがとう。ありがとう。」
「…楽しかったよ。嬉しかったよ。悲しかったよ。寂しかったよ。悔しかったよ。…いろいろ、全部、ありがとう。」
もう、それしか出てこない。
ひたすら、嗚咽をこらえて、涙を拭って、感謝しかできなくて…。
もう、涙のせいで何も見えないよ。
「…たぶん……そろそろ……。」
大丈夫大丈夫、大丈夫大丈夫。
後悔は、ない。
本当に、キラキラした思い出しか思い浮かんでこない。
「昴…!
大好きだよ!
世界中の、何よりも、誰よりも、
真野萌黄は、
城田昴が、
大大大大、
大好きだぁーっ!!」
もう、涙で顔がぐしゃぐしゃだ。
昴は、あたしが知ってる中で、一番、いい顔をした。
くしゃっと目尻が下がって、口がにこっと笑った、
あたしがたくさんたくさん愛した、
最高の笑顔。
「萌黄。
俺を好きでいてくれて
ありがとう!!
いままでも、
これからも、
俺には
お前しかいねえから!!」
もう、……
その言葉で、十分だよ。
他に、何もいらない。
幸せだよ、あたし!
ありがとう。
大好き。
ありがとう。
大好き。
「じゃあ……。」
大きく、右手を振る。
「また明日ね!………」
だめだ。
涙が止まらない。
おかしいくらい、止まらない……。
昴も、右手を大きく、大きく振る。
「おう!また、また明日な!…………。」
そのまま、手を繋いだ。
きつく、きつく。
風が、吹いた。