後輩なんて本気になりません!


丸井さんから
おしゃれなお店を見つけたから
一緒に下見に行かない?と
誘われたそうだ。


なぜ下見なのかというと
丸井さんは部署で行う
年末の飲み会の幹事に順番が回ってきて
どのお店がいいかチョイスしないと
いけないらしい。


「ふーん そう」


本当は気になって気になって
仕方がないけど
【気にしてません!】と言う態度を
取ってしまうあたし。


「それで2人きりで行くわけ?
なんかさぁ 下心ありそう」


恵はズバッという
うん あたしもそう思う。


「下心ですか?ないない」


手を振って否定している龍馬。


「いや!あんたじゃなくて
向こう!丸井さんの方」


「例え向こうはあったとしても
こっちは全くないから
あっ!先輩が行かないで!
って言ったら行きませんけど?」


「はぁ?なんであたしが
行かないでっていうわけ?」


「もっ!あんたね!可愛くないわ」
恵が私の肩を叩いた。


可愛くないのはわかってる
素直じゃないのもわかってる。


それなのに龍馬はまだまだ続ける。


「好きだから他の女のところに
行かないでってね あはは」


龍馬はいつもの冗談なのに
冗談で返す余裕はなかった。


「はぁ?好きだから?
何言ってんの?」


「またまたぁ〜松坂先輩の前だからって
誤魔化さなくていいから」


「待って!やめて!
あたしが龍馬を好き?
あたしが龍馬を好きになる確率は
ゼロに近いから!」


そんなこと思ってもないのに
心と口は正反対。


その瞬間 シーンとして
なんとも言えない空気が流れた。




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