はやく気づけ、バカ。
そしてついにエレベーターの現在地が3階だと示されたとき、
「あの、菜緒先輩って呼んでもいいですか?」
黙っていた桐谷くんの口が再び開かれた。
(......!?)
「......え!?」
内心と口をついた言葉はおんなじだ。
―――いきなりの提案に、驚きを隠せない。
でも...
(また、無言になるよりはましだ。)
「もちろん!いいよ!」
その思いが私に了承させた。
「っ!」
息を吞んだ音が聞こえた。
「じゃあ、菜緒先輩って呼びます。」
すごくうれしそうに桐谷くんが笑うから、なんだかこっちまで嬉しくなった。
(...究極の二択を選んだような気分だったけど、)
そんなに悪いものでもなかったのかもしれない。と内心で一言。
そして「うん、わかった。」と私が返事をしたとき、
ピーン、とエレベーターが一階についたということを告げた。