はやく気づけ、バカ。
「めちゃくちゃ可愛いですね...!」
お世辞抜きでそう言うと長野さんは誇らしげな顔になり、「だろ?」と一言。
目に触れた瞬間、もっとよく見たいと思ってしまって、彼のスマートフォンを手にとってしまったくらいには彼女は可愛い。
圧倒的なまでの可愛さに、一瞬で卑屈になる。
(...わたしもこれくらい可愛かったら、恋愛できるのかな)
答えはノーだとわかっているのに、自分に問いかけた。
「で、どんなネックレスがいいと思う?」
そういうと長野さんは「ん、」といい、手を差し出した。
その手にスマートフォンを返すと、長野さんは話を戻した。
そしてわたしも「そうですねぇ...」と言いながら店内を歩き回る。
「見た感じでは黒髪がとてもきれいで、顔だちも派手というよりは繊細だとかそういう風に思ったので...」
「うんうん」
「さっき私が言ったネックレスよりも.、」
そして更に「う~ん...」と言って店内を歩きまわると、彼女さんに似合いそうなものを見つけた。
「あ、こういう華奢な感じのほうが似合うんじゃないですかね。」
そういって私が指さしたのはさっきのネックレスのショーケースとは真反対の位置に置かれているもので、
チェーンがとても細く、またデザインもシンプルに真ん中にダイヤモンドのような宝石が一つ装飾されている。
私が指さしたネックレスをさっき同様にみると長野さんは「おっ...たしかに!」と言いながら頷いていた。
どうやら長野さんも満足げのようだ。