はやく気づけ、バカ。



「これ...梨花(りか)に似合いそう。」

そう私の顔を見て微笑んで言うと、長野さんは「すみません。」と店員さんに声を掛けた。

どうやら、このネックレスに決めたようだ。

(彼女さんの名前、梨花っていうのか...覚えておこう。)
覚える必要もなさそうだが、念のため、と。

そう考えていると、後ろから
「ありがと、甘利ちゃん。じゃあ帰ろうか。」
と、長野さんの声が耳に届いた。

「あ、はい!」
いつの間にか、長野さんは会計を済ませていたようだった。

(行動が早いなぁ。...あ、そういえば)
どうしてネックレスを買おうと思ったのか聞いてなかったな、と思い尋ねてみることにした。

店をでて、駅に向かいはじめる。
声を掛けようと長野さんの顔を見ると、買ったネックレスを見て幸せそうな顔をしている。





< 88 / 139 >

この作品をシェア

pagetop