【仮面の騎士王】
「大丈夫さ。必ず来るよ」


 ファビアンは自信ありげに頷く。ファビアンはこの数日、街にある噂を流していた。それは、仮面の盗賊に対する挑戦状と言えるものだった。


「王太子妃の冠を奪いに来い、か」


 レイフの唇が小さく動く。


 もしも仮面の盗賊が姿を見せなければ、貧民街を一掃して、盗賊を捕える。盗賊から金品を受け取った者も全て一味として厳罰に処す。仮面の盗賊の正体を知っている者が通報すれば、一生贅沢ができるだけの報奨金が支払われる。


 巧みに流された噂は、あっという間に町中に広がった。今まで仮面の盗賊様々とこびへつらっていた民衆の中には、自分だけはまきこまれないとして彼の悪口を言いはじめる者もいた。 


 報奨金目当てに、何件もの仮面の盗賊に関する情報がすでに王宮へ届いていることも事実だった。


「やつは、義賊を気取っているようだからね。来なければ自分の評判を落とすだけさ」
 

 本来なら、盗賊の討伐を任されたレイフが立てるべき計画だ。レイフは、ファビアンを侮りすぎていたと感じた。


「楽しそうだな」


 レイフの言葉に、ファビアンは口笛を鳴らして答えた。


「そりゃあ、世間を騒がせている盗賊退治だもの。わくわくするさ」


「そんなものか」
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