MAYBE TOMORROW
そのひとはそう言った。わたしのほうはふり向かずにドアとは反対側を向いて置かれているソファーに座ってギターを抱えたままで。

ガラスのテーブルには楽譜が置かれているのか?そのひとはそこに何かを書き込んでいるようだ。

相変わらずこちらにはふり向かない。わたしをオニイチャンと疑いもしていないのだろう。

「で、あったのかよ。ラーク?」

そのひとは穏やかに言う。やけに。

わずかに横顔が見えた。そのひとは煙草をくわえていた。

男のひとだった。
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