MAYBE TOMORROW
オニイチャンは年数回、数か月にわたり現地に滞在して
仕事の傍らお兄ちゃんを見つけ出すことに全身全霊をかたむけ
方々を探し回ったのだけれど、とうとうそれは果たせなかった。

そして三十五を過ぎたころ
「いい加減、いつまでもひとりってわけにもいかないかな」
としおらしいことを言って十歳ちかく年下の同じ課で働く女性と結婚したのだ。

それがさっきわたしに電話をよこした義妹だ。

控えめで知性と節度のある好感の持てる女性だ。
< 374 / 412 >

この作品をシェア

pagetop