政宗かぶれの正志くん
常連客としてバイトの店員として、ほぼ毎日この食堂に通う私に恋人がいないのは周知の事実で、息子だの、会社の部下だの、紹介してくれると言い出す人が多い。


それを断り続けること1年、いつの間にか私は「男嫌い」で、それは「かつて6股をかけられて捨てられたせい」と理解されていた。


事実無根ではあるが、そのまま放置している。


紹介だのお見合いだのは申し訳ないが有り難迷惑でしかなく、自然とそのような話がなくなったのがありがたかったからだ。


断るのも気を使うのだ。皆いい人たちだから。


彼らはたまに「男の中でもいいヤツはいるぞー」「子どもはかわいいぞー」「結婚はいいぞー」という主旨の進言をそれとなくしてくれる。


そういう温かなお節介も実家を彷彿とさせ、ありがたかったり、疎ましかったりする。


実際、別に6股をかけられたわけでもなく、男嫌いになる程の経験もしていない。


何なら、誰とも付き合ったことはない。


そんな気がおきないのだ。


可愛いげのない私のどこを気に入ってくれたのか、好きになってくれる人も何人かいた。


でも、自分が好きでもないのに付き合うなんて相手に失礼な気がして丁重にお断りさせていただいてきた。


世の中をもっと見ろよ。世界は可愛らしい人で溢れているのに、何で私ごときに惚れちゃったんだよ。


断るのも辛いんだよ。


今は恋愛に興味はない。お腹いっぱいなんです、マジで。





< 11 / 55 >

この作品をシェア

pagetop