先輩、一億円で私と付き合って下さい!
「母親にとって、子供の誕生日って案外、親が、生んだ日の事を思い出して大変さを振り返り、大きくなった我が子を喜ぶ日なのかもしれない。何歳になったというよりも、産んでから何年経ったっていつも思っちゃう。もうすぐまたあれから16年経つのね。早いわ」
今も出産時の事を思い出しているのか、俺の向かいに座って微笑んでいた。
その後、ピーピーとアラーム音がなると立ち上がり、キッチンの方でごそごそしていた。
俺はその間、辺りを見回していた。
棚の所に写真が飾ってあるのに気付くと、俺はすくっと立ち上がり、それを見に行く。
そこには小さい頃のノゾミがユメと手を繋ぎ、両親に囲まれて、遊園地の乗り物を背景にした写真が飾られていた。
いい写真だと俺は素直に思った。
その同じ棚の所にノートサイズのスケッチブックが置かれている。
それを興味深く見ていると、志摩子がサンドウィッチを乗せた皿を手にして現れた。
「それ、ノゾミのスケッチブックなの。見る?」
志摩子は手にして、俺の前にそれを掲げた。
俺は再び席に戻り、志摩子に勧められるまま、「いただきます」と、サンドウィッチを食べだした。
外はこんがりとやけ、中はレタスもトマトもハムも入っていて、そこにとろっとチーズが溶けた、アツアツのホットサンドだった。
これが美味しかった。
それを食べながら、俺はノゾミのスケッチブックを見せられている。
1ページ1ページ、志摩子が説明を挟みながらゆっくり捲っていた。
それはノゾミがデザインしたケーキの絵だった。
どれもおいしそうに、きれいに描けている。
さすがイラストレーターの母の血を引いているだけ、上手い。
父母のどちらの才能も貰っているのもすごい。
「食べたいケーキがあった?」
「どれもおいしそうです。絵も上手いけど、ちゃんと使う素材の事も考えて細かく書かれて、研究に打ち込む姿勢が違いますね」
「そうなのよ。だけど、ここ最近、デザインしてないの。お菓子作りもトーンダウンしたようになってるの。テレビのグルメ情報でケーキが出てきてもスルーしちゃって。昔は食い入るようにみてたのに」
詳しい状況が分からなかったが、俺とセイの間で悩んでいたのかもしれない。
「ちょっと忙しかったんじゃないですか?」
当たり障りのないように適当に答えていた。
そんな時、やっとノゾミが帰ってきた。
今も出産時の事を思い出しているのか、俺の向かいに座って微笑んでいた。
その後、ピーピーとアラーム音がなると立ち上がり、キッチンの方でごそごそしていた。
俺はその間、辺りを見回していた。
棚の所に写真が飾ってあるのに気付くと、俺はすくっと立ち上がり、それを見に行く。
そこには小さい頃のノゾミがユメと手を繋ぎ、両親に囲まれて、遊園地の乗り物を背景にした写真が飾られていた。
いい写真だと俺は素直に思った。
その同じ棚の所にノートサイズのスケッチブックが置かれている。
それを興味深く見ていると、志摩子がサンドウィッチを乗せた皿を手にして現れた。
「それ、ノゾミのスケッチブックなの。見る?」
志摩子は手にして、俺の前にそれを掲げた。
俺は再び席に戻り、志摩子に勧められるまま、「いただきます」と、サンドウィッチを食べだした。
外はこんがりとやけ、中はレタスもトマトもハムも入っていて、そこにとろっとチーズが溶けた、アツアツのホットサンドだった。
これが美味しかった。
それを食べながら、俺はノゾミのスケッチブックを見せられている。
1ページ1ページ、志摩子が説明を挟みながらゆっくり捲っていた。
それはノゾミがデザインしたケーキの絵だった。
どれもおいしそうに、きれいに描けている。
さすがイラストレーターの母の血を引いているだけ、上手い。
父母のどちらの才能も貰っているのもすごい。
「食べたいケーキがあった?」
「どれもおいしそうです。絵も上手いけど、ちゃんと使う素材の事も考えて細かく書かれて、研究に打ち込む姿勢が違いますね」
「そうなのよ。だけど、ここ最近、デザインしてないの。お菓子作りもトーンダウンしたようになってるの。テレビのグルメ情報でケーキが出てきてもスルーしちゃって。昔は食い入るようにみてたのに」
詳しい状況が分からなかったが、俺とセイの間で悩んでいたのかもしれない。
「ちょっと忙しかったんじゃないですか?」
当たり障りのないように適当に答えていた。
そんな時、やっとノゾミが帰ってきた。