先輩、一億円で私と付き合って下さい!
6
「俺が作ったケーキ、無理して食べなくていいからな」
「見た目はアレですけど、味は美味しいです」
俺たちは肩を並べて駅に向かって歩いていた。
夕方近くになって、気温はいくらか下がっても、蒸し暑さが残っていた。
ノゾミが作ったケーキは、お持ち帰り用に保冷剤を入れて箱に詰めてもらった。
すっかり長居してしまった事をノゾミの両親に詫びて、出てきたのだが、またいつでも遊びに来てと笑顔で見送られた。
ノゾミの父親も、俺の素性が分かるとすっかり信頼し、俺への警戒心は解けていた。
本当にいい家族だと思う。
温かくて優しさに包まれて、そこに甘い香りが漂い、幸せが一杯詰まってる。
そのことをノゾミに伝えれば、ノゾミは照れくさそうに微笑んでいた。
「ケーキだって、あのろうそくを吹き消したら魔法がかかるみたいに、本当に願い事が叶いそうに思えるよ」
「昔はロゴの全体がろうそくになってたんです。色々と試行錯誤にデザインして、あのように落ち着きました。だけど私は初期の頃にデザインしたものの方が好きでした。あれの方が魔法の力も強いんです」
「試した事があるみたいだな」
「はい、あります。記念に残していた最後の一個を、思い立って使ってみたら、そのお蔭で先輩とこうやってお付き合いできました」
「じゃあ、そのろうそくで俺と付き合いたいって願ったってことなのか」
「直接そんな風には願わなかったんですけど、とにかく、自分の名前のごとく、望みは叶いました」
「それじゃ俺の願いも叶うのだろうか」
俺の願い。
「俺が作ったケーキ、無理して食べなくていいからな」
「見た目はアレですけど、味は美味しいです」
俺たちは肩を並べて駅に向かって歩いていた。
夕方近くになって、気温はいくらか下がっても、蒸し暑さが残っていた。
ノゾミが作ったケーキは、お持ち帰り用に保冷剤を入れて箱に詰めてもらった。
すっかり長居してしまった事をノゾミの両親に詫びて、出てきたのだが、またいつでも遊びに来てと笑顔で見送られた。
ノゾミの父親も、俺の素性が分かるとすっかり信頼し、俺への警戒心は解けていた。
本当にいい家族だと思う。
温かくて優しさに包まれて、そこに甘い香りが漂い、幸せが一杯詰まってる。
そのことをノゾミに伝えれば、ノゾミは照れくさそうに微笑んでいた。
「ケーキだって、あのろうそくを吹き消したら魔法がかかるみたいに、本当に願い事が叶いそうに思えるよ」
「昔はロゴの全体がろうそくになってたんです。色々と試行錯誤にデザインして、あのように落ち着きました。だけど私は初期の頃にデザインしたものの方が好きでした。あれの方が魔法の力も強いんです」
「試した事があるみたいだな」
「はい、あります。記念に残していた最後の一個を、思い立って使ってみたら、そのお蔭で先輩とこうやってお付き合いできました」
「じゃあ、そのろうそくで俺と付き合いたいって願ったってことなのか」
「直接そんな風には願わなかったんですけど、とにかく、自分の名前のごとく、望みは叶いました」
「それじゃ俺の願いも叶うのだろうか」
俺の願い。