先輩、一億円で私と付き合って下さい!
「おい、天見、聞いてるのか?」
「えっ、ああ聞いてるよ。だけどなんだよ、最初は大人しくて俺に似合ってないとか言っておきながら」
「これだけ、続けてお菓子を持ってきたらさ、情が湧くというのか、その必死な姿に心打たれたのさ」
「でも、あれはお前のために作ってきたんじゃないぞ」
「わかってるけどさ、ちゃんと俺たちの分もあるじゃないか。天見の友達だからって、気を遣ってくれてるんだよ」
「最初に自分の分も作ってこいと催促してたのは、お前だぞ」
「えっ、そうだっけ? そんなことより、天見はノゾミちゃんの気持ちをもっと汲んでやった方がいいぞ。あまりにも当たり前に思い過ぎだ」
「別に、当たり前だとは思ってない。アイツが無理して持ってくるだけだ。だから断ったじゃないか」
「俺は何もそういう事を言ってるんじゃない。ノゾミちゃんがどんな気持ちで作ってるかっていう事に気づけって言ってんだ。今は苺が出回ってるから、苺ばっかりのお菓子になったんだろうけど、苺だって高いんだぜ。他の材料費だってあるんだから、もっと感謝しろって言ってるんだ。その気持ちを表すために、お返しとかした方がいいぞ?」
「えっ? お返し?」
「貰ってばかりじゃ悪いじゃないか」
「なんかプレゼントした方がいいってことか?」
「別に金をかけるばかりがお礼じゃないぜ。例えば今週末デートに誘うとか、買い物に付き合うとか、一緒に過ごしてやれよ。とにかく、感謝の気持ちを表せよ。それがギブアンドテイクってもんだ。一方通行じゃ、ノゾミちゃんがかわいそうだ」
「一方通行?」
「ああ、まだまだ天見たちには格差があって、ノゾミちゃん、かなり気を遣って無理してるように見える」
「江藤は本当にお節介だな」
「アドバイスじゃないか。というより、ノゾミちゃんの肩を持ってあげたくなってね。あれじゃいつか息切れしそうだから。いつも天見の顔色を見て、おどおどしてるし」
江藤のいう事もわかるが、俺自身、まだどう接していいのかわからないから、お互いがぎこちなくなってるだけだ。
一応彼氏になりきろうと、ノゾミには気を遣って努力はしているつもりだ。
だがいつも俺が空振りしてしまっているに過ぎない。
それを言いたくてもプライドが邪魔して、江藤に言われっ放しになるしかなかった。
「わかってるから、俺たちの事は放っておいてくれ」
「まあそういうなよ。何か手伝えることがあれば、力になるからな」
江藤に肩をポンと叩かれ、女に関しては自分の方が上だと見せつけられているようだった。
結構イラッとくるから、これもわざと嫌がらせをして楽しんでいるだけに過ぎない。
弱みを見られたような、悔しさがこみ上げてきた。
江藤のせいで俺はムキになってしまう。
それならば、もっと積極的になって、俺がスマートに女と付き合えるところをみせてやろうじゃないか。
ノゾミがドキドキとして喜ぶような──
俺は結局江藤に乗せられ、ノゾミをデートに誘う気になっていた。
「えっ、ああ聞いてるよ。だけどなんだよ、最初は大人しくて俺に似合ってないとか言っておきながら」
「これだけ、続けてお菓子を持ってきたらさ、情が湧くというのか、その必死な姿に心打たれたのさ」
「でも、あれはお前のために作ってきたんじゃないぞ」
「わかってるけどさ、ちゃんと俺たちの分もあるじゃないか。天見の友達だからって、気を遣ってくれてるんだよ」
「最初に自分の分も作ってこいと催促してたのは、お前だぞ」
「えっ、そうだっけ? そんなことより、天見はノゾミちゃんの気持ちをもっと汲んでやった方がいいぞ。あまりにも当たり前に思い過ぎだ」
「別に、当たり前だとは思ってない。アイツが無理して持ってくるだけだ。だから断ったじゃないか」
「俺は何もそういう事を言ってるんじゃない。ノゾミちゃんがどんな気持ちで作ってるかっていう事に気づけって言ってんだ。今は苺が出回ってるから、苺ばっかりのお菓子になったんだろうけど、苺だって高いんだぜ。他の材料費だってあるんだから、もっと感謝しろって言ってるんだ。その気持ちを表すために、お返しとかした方がいいぞ?」
「えっ? お返し?」
「貰ってばかりじゃ悪いじゃないか」
「なんかプレゼントした方がいいってことか?」
「別に金をかけるばかりがお礼じゃないぜ。例えば今週末デートに誘うとか、買い物に付き合うとか、一緒に過ごしてやれよ。とにかく、感謝の気持ちを表せよ。それがギブアンドテイクってもんだ。一方通行じゃ、ノゾミちゃんがかわいそうだ」
「一方通行?」
「ああ、まだまだ天見たちには格差があって、ノゾミちゃん、かなり気を遣って無理してるように見える」
「江藤は本当にお節介だな」
「アドバイスじゃないか。というより、ノゾミちゃんの肩を持ってあげたくなってね。あれじゃいつか息切れしそうだから。いつも天見の顔色を見て、おどおどしてるし」
江藤のいう事もわかるが、俺自身、まだどう接していいのかわからないから、お互いがぎこちなくなってるだけだ。
一応彼氏になりきろうと、ノゾミには気を遣って努力はしているつもりだ。
だがいつも俺が空振りしてしまっているに過ぎない。
それを言いたくてもプライドが邪魔して、江藤に言われっ放しになるしかなかった。
「わかってるから、俺たちの事は放っておいてくれ」
「まあそういうなよ。何か手伝えることがあれば、力になるからな」
江藤に肩をポンと叩かれ、女に関しては自分の方が上だと見せつけられているようだった。
結構イラッとくるから、これもわざと嫌がらせをして楽しんでいるだけに過ぎない。
弱みを見られたような、悔しさがこみ上げてきた。
江藤のせいで俺はムキになってしまう。
それならば、もっと積極的になって、俺がスマートに女と付き合えるところをみせてやろうじゃないか。
ノゾミがドキドキとして喜ぶような──
俺は結局江藤に乗せられ、ノゾミをデートに誘う気になっていた。