先輩、一億円で私と付き合って下さい!
2
電車に乗り、賑やかな市内へと繰り出す。
ノゾミに連れられて行った先には、すでにセイが待っていた。
駅の構内の人通りの慌ただしさの中、学ランの胸元のボタンを一つ外した首元から白いシャツを覗かせ、大きめのスポーツバッグを肩に掛けて、通行人の邪魔にならないように壁際で立っていた。
世の中に不満を持ってるようなふてくされた顔。
だがそれが、とても子供っぽくて痛い奴に見えるところが、あか抜けてないと思わせる。
そのくせ背伸びをして粋がっている。
心の内が複雑で、精一杯反抗しようと抗っているようにも見えた。
箍(たが)が外れば、切れやすく暴走し、この年代によくある危険な分子を秘めている。
例えるなら、苛立ちを抱えた狂気を隠し持ったような少年。
自分が弱いから、武器に頼って、気に入らないものを切り付けそうに、虚勢を張る。
『セイ君にはどうか気を付けて下さい』
ノゾミが言ったその言葉は、理由もなく刃向うその性格を意味しているのだろう。
俺が近づけば、セイの目はますます鋭さを帯びて行った。
「セイ君、待った?」
「ああ」
嫌味っぽく返事したその矛先は、俺に向けられていた。
おいおいと思いつつ、俺はとりあえず愛想よく挨拶した。
「よぉっ」
セイは俺をこの上なく睨んでいる。
「お前が俺に会いたいっていったんじゃなかったのか?」
「ふん」
そっぽを向きやがった。
「セイ君」
ノゾミが窘めると、セイは顔を歪め下を向く。
心なしか体が震えていた。
感情を押し込め、区切りがついたところで、セイはまた俺と向き合った。
「お前の事を知るべきだと思った」
「おい、仮にも俺は年上だぞ。いきなりお前はないだろう」
「何が年上だ。俺より早く生まれただけだろうが」
「だからそれを年上というんだが」
「ふん」
またそっぽを向いた。
ノゾミはハラハラしてやり取りを見ていた。
電車に乗り、賑やかな市内へと繰り出す。
ノゾミに連れられて行った先には、すでにセイが待っていた。
駅の構内の人通りの慌ただしさの中、学ランの胸元のボタンを一つ外した首元から白いシャツを覗かせ、大きめのスポーツバッグを肩に掛けて、通行人の邪魔にならないように壁際で立っていた。
世の中に不満を持ってるようなふてくされた顔。
だがそれが、とても子供っぽくて痛い奴に見えるところが、あか抜けてないと思わせる。
そのくせ背伸びをして粋がっている。
心の内が複雑で、精一杯反抗しようと抗っているようにも見えた。
箍(たが)が外れば、切れやすく暴走し、この年代によくある危険な分子を秘めている。
例えるなら、苛立ちを抱えた狂気を隠し持ったような少年。
自分が弱いから、武器に頼って、気に入らないものを切り付けそうに、虚勢を張る。
『セイ君にはどうか気を付けて下さい』
ノゾミが言ったその言葉は、理由もなく刃向うその性格を意味しているのだろう。
俺が近づけば、セイの目はますます鋭さを帯びて行った。
「セイ君、待った?」
「ああ」
嫌味っぽく返事したその矛先は、俺に向けられていた。
おいおいと思いつつ、俺はとりあえず愛想よく挨拶した。
「よぉっ」
セイは俺をこの上なく睨んでいる。
「お前が俺に会いたいっていったんじゃなかったのか?」
「ふん」
そっぽを向きやがった。
「セイ君」
ノゾミが窘めると、セイは顔を歪め下を向く。
心なしか体が震えていた。
感情を押し込め、区切りがついたところで、セイはまた俺と向き合った。
「お前の事を知るべきだと思った」
「おい、仮にも俺は年上だぞ。いきなりお前はないだろう」
「何が年上だ。俺より早く生まれただけだろうが」
「だからそれを年上というんだが」
「ふん」
またそっぽを向いた。
ノゾミはハラハラしてやり取りを見ていた。