mon amour.
「だってさ、ピアノがなくなった、じゃあ私ができるのはこれだ!ってわかる人生って面白くないじゃん
何が出来るのかわからないから、何が起こるのかわからないから楽しいんじゃないの?ピアノが出来なくなればピアノ以外を探せばいいじゃん


ねぇ、美夜姫ちゃん、この世に物ってどれくらいあると思う?」



「わからない、いくつ?」


ん〜私にもわからないなぁ


「私も知らない。わかる?美夜姫ちゃんよりもね8年多く生きてる私でもわからないの。きっとね美夜姫ちゃんのご両親もわからないと思う。」



「なにが言いたいの?」


「わからないってことはそれだけ沢山あるってことなの。具体的な数がわからないから無限大数ってするとね、あなたが今まで17年間やって来たのはその無限大数のうちの一つなの。そのひとつに囚われすぎない事ね


それにさ、後遺症が残らない可能性だってあるんだよ?美夜姫ちゃん、ピアノってなんで出来るの?」


「当たり前のこと聞かないでよ。指があるから」


「そうだね、じゃあなんで指はあるの?」



「指がある理由?生きてるから、とか?」


わかってるじゃない


「そうだね、難しい話をするけどねピアノが出来るのって土台があるからなの


なんでもそうでしょ?例えばさ、ピアノ初めてすぐの人がショパン弾けると思う?モーツァルト弾ける?ショスタコーヴィチ弾ける?」



「そんなの無理に決まってるじゃん。基礎もしてないのに…」



「そうでしょ?何をするのにも基礎は必要でしょ?じゃあピアノが弾けるのもさ、指があるからじゃん、手があるからじゃん、腕があるからじゃん。生きてるからじゃん。このままだとピアノ弾く以前の問題じゃないの?」




< 81 / 86 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop