6人目
トン、トン、と。

軽いステップを踏んで後方へと下がるディア。

狂史郎の拳を食らった箇所は肉が抉れ、陥没し、血飛沫が上がっている。

「ざっと10メートルは届きそうだな。至近距離からの攻撃しかできないと思っていたが…射程範囲は想像以上に広いな。だが」

一瞬にして、抉れた肉は盛り、傷は完全に再生してしまう。

「化け物特有の再生能力だと思っていたが…それも『掟破り』の力か」

「そうとも」

呟く狂史郎にディアは答える。

「肉体を破壊されれば傷つき、治癒には時間がかかる…そういう理を破ったのだ」

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