S級イケメン王子に、甘々に溺愛されています。
「ホントはこのまま押し倒したいとこだけど、今はおとなしくお預けされとくよ」
「……へ?」
ぱっ、と解放された手。
そして椿はすとんと私の隣に座ると、今度は優しい瞳をしてみせる。
「可愛い妻が慣れないこと必死に頑張ってるから、それを見守るのも俺の務めだと思わない?」
私の頭をポンポンっと撫でる椿に、胸がキュンっと音をたてる。
「が、頑張るよ!椿も協力してくれてるから……まだまだ覚えなきゃいけないことたくさんで」
「例えば?」
「えと……姿勢!学んだことを継続しないと!」
「それから?」
「れ……レシピ作成教室が近くて……どんな内容かわからないけど考えておこうって。ローランド先生は厳しいから、また怒られるかもしれないけど……」
「もっと自信持っていんじゃない?」
「……持てるように、頑張る!」
私の話に耳を傾けて、うんうんとどこか嬉しそうに相槌を打つ椿に高鳴る鼓動。
いつか今より自信を持てるような自分になれたら、幼なじみって言葉じゃもう抑えきれないこの気持ちを、椿に伝えることが出来るかな……。
「可愛すぎて顔戻んないんだけど。ホント、勘弁してよ」
「……!?」
夜の帳が降りる中、現代のプリンスは、あたふた話す私を見つめてご満悦だったのでした。