S級イケメン王子に、甘々に溺愛されています。

「あいにく、それが俺の条件だから。悪いな榎並」


「あ、そうだったね。そういえば戸澤くん、探してる人は見つかりそう?」



あの入学許可証を出してくれた差出人だ。



「いーや?てか、見つけるもなにも、今はいくら探しても無駄だからな」


「無駄……?いないってこと?」



すると戸澤くんは、聞き返した私の鼻をムキュッとつまんだ。



「いたっ……!」


「詮索しないの。空気を読むのも、賢いお嬢様への一歩だろ?」



からかうみたいな口調で言うと、ケラケラ笑いながら私の鼻を左右に引っ張った。



「ご、ごめんなさいっ!詮索はしません!」


「はい素直」



解放される鼻を撫でながら私は思った。


きっと戸澤くんにも容易く話せるようなことじゃないなにかがあるのかもしれないって。

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