S級イケメン王子に、甘々に溺愛されています。
「失礼した。今後は気をつけよう。さっ、戸澤くん。キミにもこのきんぴらごぼうを食べる権利を与えよう」
それ私のお弁当なんだけど……。
あの一件以来、食事仲間だとか言って蒼ノ月様は昼休みになると私の教室へとやってくるようになった。
「世界には僕の知らない食べ物がこんなにもあるとは。明里くんの母上が作るお弁当には日々感動すら覚えるよ」
「それ、褒めてるんですか……?」
「もちろんだ」
そんな私と蒼ノ月様を見て、庶民同士である戸澤くんまで「毎回ディスりすぎだ」なんて言ってゲラゲラ笑ってるし……。
「んじゃ、俺は音楽室へ避難させてもらうわ」
「そ、そんなぁ!!見捨てないでよ!」
私のかがげた右手が宙で行き場をなくす。