S級イケメン王子に、甘々に溺愛されています。


* * *


マズい、遅くなっちゃった……。


私は買い物をした袋を片手に、小走りで明かりの消えた商店街を抜ける。


買ったのは豆腐ハンバーグの材料で、作るのは私だ。



もちろんお母さんに教えてもらいながら。



家に帰った私は入学当初から今までのことを振り返って、火神さんの笑顔を最近見てないことに気づいた。



目力のある凛々しい瞳がくしゃりと和らいで、弾けたような火神さんの笑みを思い浮かべる。



笑顔にする方法なんてわからないけれど。



────“ 今度ありがたく頂くよ。明里の家の豆腐、楽しみにしてるね ”



初めて言葉を交わしたあの日、ウチのお豆腐を食べたいって言ってくれたから。



そうしたら、もういてもたってもいられらなくなって、閉店ギリギリのスーパーに駆け込んだ。

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