S級イケメン王子に、甘々に溺愛されています。
ポツリ、と降り出した雨に顔を上げれば、真っ黒な空が広がっている。
静寂に包まれた夜道が私の足を速くさせる。
怖い……かも。
蒸した夜の中を、タッタッタッと、私は遂に駆け出した。
エンジンのかかっていない車が道の端に寄せて停められている。
その横を通り過ぎた直後だった。
────ガチャッ!
背後で、物音が響いた。
足を止めずに顔だけで振り返る。
「ーーーーっ!!!」
けれど、その時にはもう遅かった。
ゴツゴツとした大きな手が私の口を塞いでいた。
一瞬で頭が真っ白になる。
………なにが起きてるの?