S級イケメン王子に、甘々に溺愛されています。
ローランド先生専用の部屋を出て教室へ戻る。
「あっ!明里!ちょっとちょっと!」
教室に入るなり、血相を変えた火神さんが飛びつく勢いで私を呼んだ。
なにかあったの……?
それに教室内もなにやらざわざわしている。
「榎並、お前も知ってたのか?」
「知ってたって……なんのこと?」
検討もつかない。
けど、戸澤くんはどこか焦ったようにしている。
「……婚約の話しだよ。ほら、撫子様の」
「えぇ!?撫子様が婚約!?」
「そう。正式に決まったって噂が流れてて、この通りみんな騒いでるってわけよ」
火神さんの口から告げられた情報に、私は先ほどのローランド先生と同じくらい驚いた。
まだ高校生なのに婚約って!
で、でも、ご令嬢ともなれば婚約の話が浮上してもおかしくはないのだろうか。