S級イケメン王子に、甘々に溺愛されています。


「いつも朝早くからありがとう。彩りも綺麗で目移りするほどだよ」


「お褒めにあずかり光栄です!ありがたきお言葉」



料理長さんらしき人は上機嫌で奥のキッチンへと戻っていった。


そんなふたりの様子に釘付けになっていると、



「なに?」


「いや、別に……っ。ただ、こういう椿を初めて見たなって思ったから」


「朝早くから時間を割いてくれてるんだ。それに対して、時期当主としても感謝すんのは当たり前でしょ?」


「そ、そっか……」



私が言うことじゃないけれど、後継者と言われるだけの完璧な振る舞いに思えた。


またひとつ、私の知らない椿の顔を知って胸がトクンと音を奏でる。

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