夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】
「このまま…。首を折るぞ。」
「っ…ヴァロンッ……。」
俺の名前を呼んで睨むマスターの瞳が、少し滲んでた。
……。
人間って、怖いよな。
追い込まれると、信じられない位の力が溢れて…。
心が痛みを通り越すと、他人を思いやれず…。もう、自分の私欲しか考えられない。
「……。分かった…。
だから、もう止めろ…ヴァロン。」
マスターは俯いてそう呟くと、自分の机の引き出しから依頼書を取り出して、俺に見せた。
「ワシの依頼受理のサインはしてある。
あとは、お前のサインだけじゃ。」
遠目だが、ハッキリ見える。
それは間違いなく、俺が今1番必要な依頼書。
「……。」
俺は手の力を緩めて、シュウを放した。
解放されて、辛そうに咳込むシュウを背に、俺はマスターの元に足を進めると…。依頼書を受け取ってよく見た。