夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】

突然の父さんの帰宅に驚いたが、以前のような当たり前の流れに俺はホッとしていた。

父さんが帰って来てくれた。
それだけで、喜びと安堵が広がる。

俺の事を見てくれなければ、声もかけてもらえなかったけど……。それは仕方ない。
久し振りに会えた父さんと母さん、二人の時間を邪魔してはいけない。


俺との時間はきっとこの後だから……。
あと数時間待っていれば、きっと父さんは俺に声をかけてくれる。

いつもみたいに、優しい笑顔で、大好きな穏やかな口調で本を読んでくれる。


「……ほめて、くれるかなぁ」

誕生日に父さんにもらった小説を抱き締めて、思わず笑みを浮かべた。
実は昨日、この小説を全て読み終えていた俺。

たくさん難しい文字や表現が使われていて理解するのに時間はかかったが、絶望の淵に立たされた主人公のヴァロンが様々な試練を乗り越えて、未来へ向かっていく話。
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