【完】DROP(ドロップ)



家に着くのは案外早くて。



もっと、雫と2人で自転車に乗って走りたかった。

秋を感じさせる夜風は、俺をそんな気持ちにさせるんだ。



「あれって、この間ご飯食べに行ったバイト仲間だよね?」



ずっと言いたかった言葉を声にするのに30分以上もかかってしまった。



そして、また思う。

俺って情けないって。


雫は、少し驚いた顔をして

『何で知ってるの?』

知ってる、ってわけじゃない。

今日のを見れば、この間の声はアイツしかいないじゃん。


こんなに心配したのに、告白された事も言ってくれないし。



俺って彼氏、だよね?



怒ってるよ。

ううん、拗ねてるのかもしれない。


だけど、何度も何度も俺の名前を呼んで。



少しずつ声がかすれて。

最後に大粒の涙を流すなんてセコイよ。



そんな雫を見たら……ほっとけるわけないでしょ。
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