【完】DROP(ドロップ)



「あーーー、もう。また泣くっ」



困った俺は、ギュッと強く抱きしめて頭を撫でた。


ちょこっと顔を上げて



「圭矢が無視するから……」



って、何でそんな可愛い顔するわけ?

本気で怒るよ?


でも、怒れるはずもない俺は、正直に言ってしまう。



「ヤキモチだから。それくらいわかってよ」



素っ気無く言いつつも、一気に赤くなる顔。


こんな事……普通なら言いたくないんだよ。



「……ヤキモチ?」



キョトンとする雫に、半ば諦めのついた俺は素直に話す。



「そう。俺は一緒にバイトも出来ないし。
羨ましいなって。
一緒に居てあげれなくて……ごめんね?」



また大きな瞳に涙が潤む。


ポンポンと頭を撫でて、額にひとつキスを落とした。


唇にしたかったキスは、出来なくて。



「ここまで言わせないでよ……」



だって、まだアイツの事、聞いてないから。

そうだから、頑張って優しく笑って言ったんだ。
< 300 / 374 >

この作品をシェア

pagetop