【完】DROP(ドロップ)
「本当に?」
「本当」
心配そうに俺を見上げる鈴ちゃんに、頷いてみせた。
「お前等、兄弟がうるさくて失恋の哀しみなんかどっかいったわ」
笑って言った俺を見て、ホッとした顔で、
「お兄ちゃんと一緒にしないでよー」
って、確かにな。
松本と一緒にされたら嫌な気持ち……少しはわかるかも。
「……巧ちゃん」
「ん?」
「失恋した相手って、同じ年?」
小さな声で、遠慮がちに聞くからつい答えてしまう。
「……違うけど」
「じゃあ、年上?」
つい答えてしまったせいで上手く誤魔化せず、黙ってしまった。
ここで黙ったら、年上だって言ってると同じじゃん。