【完】DROP(ドロップ)



「本当に?」

「本当」



心配そうに俺を見上げる鈴ちゃんに、頷いてみせた。



「お前等、兄弟がうるさくて失恋の哀しみなんかどっかいったわ」



笑って言った俺を見て、ホッとした顔で、



「お兄ちゃんと一緒にしないでよー」



って、確かにな。


松本と一緒にされたら嫌な気持ち……少しはわかるかも。



「……巧ちゃん」

「ん?」

「失恋した相手って、同じ年?」



小さな声で、遠慮がちに聞くからつい答えてしまう。



「……違うけど」

「じゃあ、年上?」



つい答えてしまったせいで上手く誤魔化せず、黙ってしまった。


ここで黙ったら、年上だって言ってると同じじゃん。



< 328 / 374 >

この作品をシェア

pagetop