【完】DROP(ドロップ)



「何歳年上?」

「もう、よくね?」



少し低い声で、鈴ちゃんを威嚇したつもりだった。


聞かれたくなかったから。

思い出したくなかったから。


せっかく、お前等兄弟のお陰で、気持ち的に楽になったのに。

また思い出して凹んじまうじゃん。



「これだけっ! 何歳年上だった?」



いつもなら、泣きそうな顔をして黙るのに。


今日の鈴ちゃんは、真っ直ぐに俺を見て、絶対に目を逸らさない。



あ……れ?

鈴ちゃんってこんなだったっけかなぁ?



「……2つ」



中学生の鈴ちゃんに何、真面目に答えてるんだろう。

俺、松本の馬鹿うつったかも。



「なら大丈夫だよね!」



急に笑顔になった鈴ちゃんに、首を傾げた。


何が、大丈夫。なんだ?




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