【完】DROP(ドロップ)



季節も秋を向かえ、夜も涼しくを通り過ぎ肌寒く感じる様になって来た頃。



夏休みが終わりバイトを辞めた雫とは、たまに学校で会うくらいで他に接点なんてなくなって。


松本から最近は菜摘さんが、受験で忙しいって間接的に話を聞く位だった。



てか普通に考えて、夏休みにバイトなんかしてる場合じゃなくね?

雫は就職らしいけど。

それでもバイトなんてしてて良かったのか?



って、俺また雫の事考えてるし。


時間が経つにつれて薄れゆく気持ちも、まだ時々鮮明に思い返す時がある。


ただ、ひとつ。
その気持ちを薄れさすのに手を貸す奴がいる。



「あ! 巧ちゃんっ!」



夜9時半。


バイトが終わり出て来た俺を満面の笑みで迎える



「……鈴ちゃん」



エヘッと笑うその姿の前へ止まった足を進めた。



「ガキがこんな時間にウロウロすんなってんだろ」

「ガキって2個しか変わらないもん!」



さっきまでの笑顔を消し、ぷぅと頬を膨らませ拗ねた顔にする。


あの告白以来、バイトが終わると鈴ちゃんはいつもこの場所に居る。


松本がシフト表を持ってるから俺のバイトの日がわかるんだろうけど、こんな事されて何かあったらシャレになんねーから。




< 332 / 374 >

この作品をシェア

pagetop